研究

地球規模の食料問題の解決と人類の宇宙進出に向けた昆虫(コオロギ)が支える循環型食料生産システムの開発(2020~2029年度)

内閣府 ムーンショット型研究開発(目標5農林水産関連)

システムの構造の画像

世界人口は2050年には、98億人へと増加し、食料危機が目前と迫っている今、「食料・飼料としての昆虫」が注目されています。とくに、2013年に、国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations)がその価値について報告したことが契機となり、「食料・飼料としての昆虫」に世界中が注目するようになってきました。現在の動物性タンパク質生産は海洋の天然資源(魚粉)に依存しているため、気候変動や人口増加に脆弱であり、人類の宇宙進出にも適合しません。そのため、魚粉を代替し、持続可能な未利用資源の確保が急務となっています。そのような中、2020年12月、内閣府ムーンショット型農林水産研究開発事業に『地球規模の食料問題の解決と人類の宇宙進出に向けた昆虫が支える循環型食料生産システムの開発』プロジェクト、通称、iF3(アイ・エフ・キューブ) プロジェクトが採択されました。iF3は、Insect-related Studies for Food, Fishery, and Farmingの略称です。

iF3プロジェクトでは、農作物残渣・食品廃棄物を有用動物性タンパク質に転換できる昆虫を、魚粉を代替する水産・畜産飼料原料として確立すると共に、人類の食・健康と地球環境を支える新たな生物資源として活用することを目指しています。とくに、農作物・食品の廃棄物を有用な動物性タンパク質に転換可能な安全かつ優良形質をもつ昆虫品種を作出すること、作出された昆虫を用いて資源循環型の省エネルギーな昆虫生産システムを開発すること、および人類の安全・安心な食と健康を支える極限環境や宇宙空間にも耐えうる完全循環閉鎖型の食料生産プラットフォームを構築することに向かって、7つのサブプロジェクトを設定し、互いに相補的・相乗的な研究開発を展開しています。

研究開始から研究終了までの図の画像